林祐一歌集『Curriculum Vitae/ポリクリノート』
<2025年2月15日>
「かりん」の林祐一さんの第1歌集が出版されました。
( 角川文化振興財団 2025年1月23日発行 2,600円+税 )
帯文を馬場あき子先生が、
解説を坂井修一さんが書いておられます。
19歳から49歳まで30年間の作品約1万首から450首を収録。
医師として、医学者として、そして夫、父として詠まれたうたは
第1歌集でありながら重厚であり
付箋がたくさんつきました。
そのなかから一部をご紹介いたします。
林祐一さん、第1歌集のご上梓おめでとう存じます✨✨
しろがねのメスを当てれば遺体にはひんやりとした抵抗がある
おもむろにあててみるなり聴診器購い来し夜の我が左心室
図書館をしんと歩めり神経の林の中に分け入るごとく
ドナーへの長き手紙よ 検閲を静かに受けて届くのだろう
昏睡の人へも朝の挨拶を 診察のたび深く思えり
眠れざる患者に夜を付き添えば家でしずかに死にたしという
人間の死を見過ぎたる目玉かな今宵まぶたの裏まで洗う
だれかより偉くなりたき一生を枝打ちされし杉が見ている
明日殺すネズミに餌を与えむと夕暮れてひとり上る階段
海岸に開かれながら道終わる希望とはかくあればたのしき
王は死にそののち御医は殺さるる我には遠き世のことなれど
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