歌集『地下にともる灯』(馬場あき子全歌集)
- momosaran
- 2022年2月1日
- 読了時間: 2分
<2022年2月1日>
昨年の9月30日に刊行された『馬場あき子全歌集』(角川書店 9000円+税)。
これまでの全27歌集と、歌集の解題、主な馬場あき子論、年譜などを収めた
函入り2冊組の書籍です。
昨年11月28日には朝日新聞・文化面に
「時代や半生 1万首の軌跡」の見出しで
馬場先生の近影とともに全歌集の記事が載りました。
『地下にともる灯』は1959年(昭和34年)に出された第2歌集です。
私がまだ生まれる前!
馬場先生の70余年の歌人としての年月に
思いをめぐらせずにはいられません。
・大方の憎しみの中にわれは愛す師を尊ばぬ子の溌溂さ
・ひるがえるもの皆軽き初夏となり椎はゆるがぬ緑を抱く
・わた帽子背にぬぎすてしわらし子のわれの走りし雪解のたんぼ
『地下にともる灯』を読了したあと、
もう1冊のほうの
『地下にともる灯』に関する解題を読みました。
そして、『寂しさが歌の源だから』(馬場あき子・著 / 聞き手・穂村弘 角川書店)の
こちらの歌集について語られたページを再読し、
さらに、
「さくやこの花」を再読するのが
私の『馬場あき子全歌集』を読むときのスタイルです。
「さくやこの花」は馬場先生が2011年から「かりん」誌に連載されていて
ご自身のうたを毎回1首取り上げて書かれている文章です。
『地下にともる灯』所収の作品については
第3回~第6回で取り上げられています。
・ひそかなる仏師の恋のかなしみか弥勒は清き唇たもつ
(「かりん」2011年3月号 ・ 「さくやこの花」 第3回)
・おおははの死にて久しきふるさとよ目つぶれば常に雪降りており
(「かりん」2011年4月号 ・ 「さくやこの花」 第4回)
・楽章の絶えし刹那の明るさよふるさとは春の雪解なるべし
(「かりん」2011年5月号 ・ 「さくやこの花」 第5回)
・架空なるかなしみにふとふれんとし夕焼けを抱く鉄骨の洞(ほら)
(「かりん」2011年6月号 ・ 「さくやこの花」 第6回)
ところで、
私が『地下にともる灯』を読み終えたのは昨年11月のうちのこと。
ブログに書こうと思っているうちに今日になってしまいました。
それで今日、「さくやこの花」を再再読すると
馬場先生は第4回にこう書かれておられました。
「育ての親はその母方の祖母で (略)
宮城県の栗原に疎開し、そこに住みついて亡くなった。
昭和二十六年二月一日、雪の日である。
(中略)
因縁話めくが、私の母が亡くなった昭和八年二月一日の東京は
稀に見る大雪であった。
母と祖母を雪の日に亡くした私は、
今も二月一日には雪を見たい思いに駆られるのである。」
なんと、今日はその2月1日ではありませんか。
「さくやこの花」は歌林の会(かりん)のホームページに第1回からアップされています。
どなたでもご鸞になることができます。
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