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河野裕子さん

<2023年8月13日>


きのう8月12日は歌人・河野裕子さんのご命日ですね。


2010年のその日の朝、新聞1面で訃報を目にした週間のことを


覚えています。


河野裕子さんが亡くなった!


ご病気とは存じていたものの


短歌総合誌に直前まで作品を発表されていたように記憶しています。


今、確認したら


「短歌」2010年5月号、


「短歌現代」2010年5月号、


「短歌往来」2010年7月号、


直前だけでもこれだけ新作が掲載されています。


私が拝読したのは「短歌」の掲載分「日本古謡さくら」でした。


私は河野さんの短歌を拝読するだけで


お目にかかったことはなかったのですが


それでもご逝去に衝撃を受けました。


これから先は河野さんの新作は生まれないのだと


大きな喪失感を覚えました。


ご年齢が64歳とお若かったこと、


そして私にとっては


その1か月前の7月10日に


つかこうへいさんが62歳で亡くなったばかりだったことも


衝撃を大きくしたかもしれません。


河野さんのご逝去を知った、その一瞬の後に生まれたうたがあります。








夏晩(おそ)し蟬よ鳴け鳴け蟬よ鳴け河野裕子が逝ってしまった


                   キム・英子・ヨンジャ 








けっして巧みなうたとは思いませんが、挽歌として


翌年7月に刊行した第2歌集『百年の祭祀(チェサ)』に収めました。


その前月の6月には


ご家族(歌人の永田和宏さん・淳さん・紅さん)によって


河野さんの遺歌集が出版されたのですが


そのタイトルは『蟬声』でしたね。


その歌集の掉尾に置かれた「手をのべて」5首は


河野さんが亡くなる前日に夫の永田和宏さんが口述筆記したものです。


その中の1首に蝉の声が詠まれています。







八月に私は死ぬのか朝夕のわかちもわかぬ蝉の声降る


                        河野裕子   















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