白蓮さんの最後の歌集
<2023年6月25日>
私の手元に『地平線』という歌集があります。
これは飯塚市ゆかりの歌人、柳原白蓮の最終歌集です。
白蓮さんの初めての歌集は
飯塚で暮らしていた時に
当時の夫、伊藤伝右衛門の援助により出版された『踏絵』です。
こちらの装幀は鮮やかで艶のあるグリーン。
2008年にながらみ書房から復刻本が出て
飯塚市の旧伊藤邸の売店でも販売され、
うれしいことに手に入れやすくなっています。
一方、最終歌集の『地平線』は1956(昭和31)年の刊行。
私が持っているのは復刻本ではなく、初版本です。
2007年に旧伊藤邸の一般公開が始まった折、
その記念として
白蓮さんの宮崎家に保管されていた初版本を
飯塚市民に頒布されることになりました。
ただし数に限りがあるので応募多数の場合は抽選とのこと。
ぜひ購入したいと思って応募しましたが
抽選に外れたと通知が届いて肩を落としました。
けれどもその後にキャンセルが出たということで
ぶじ購入することができたのです。
こちらの装幀は薄いグリーンの地に
植物の葉と蔓をモチーフとしたデザインが美しい。
きのう開催した第63回いいづか短歌サロンに
参考資料として持参するため書棚から出して気づいたのが
発行日が62年前の6月25日であること。
きのうは6月24日でした。
これも「短歌の偶然」ですね(=^∸^=)
(短歌をやっていると偶然がよく起こるんです)
『地平線』の掉尾のうたをご紹介いたします。
夢二忌や我をはるばるたづね来し筑紫の海の潮鳴きこゆ
柳原白蓮
竹久夢二は第1歌集『踏絵』の装幀を担当しました。
その頃夢二は福岡市にあった伊藤家の別邸(銅御殿)に
白蓮さんを訪ねたことがあります。
その後も交流していたことから
白蓮さんは夢二の命日におこなわれる夢二忌に参列し、
その際にこのうたを詠んだといわれています。
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