第43回かりん賞
<2023年10月7日>
「かりん」9月号で今年のかりん賞が発表されています。
かりん賞は結社内の新人賞で
直近1年間に「かりん」誌に載った自身の作品から
30首を連作として再構成し、タイトルをつけて応募します。
今年はおふたりのかたが選ばれています。
芳賀はなさんの「夜が、はじまる」と
山崎垂さんの「システム」です。
おめでとう存じます✨
お祝いの気持ちをこめて
それぞれの連作から抄出してご紹介いたします。
(余談ですが、私がかりん賞をいただいた年も
女性2人の同時受賞でした。
もうおひとりのかたとは
東京での授賞式で初めてお目にかかったのですが
それ以来、なんとなく同期生のような親近感を持ちました。
同期生といっても世代は離れているのですが(=^∸^=))
「夜が、はじまる」(30首)より 芳賀はな
吾があとに続くことなき道こはくなりぬ「進化のはなし」読みつつ
夏の夜のロングアイランドアイスティー話したりないくらゐがいいね
許したくなきひと許さんとするとき脳の路を駆ける火車あり
プーケットの酸き風かをるゆふべなり異国とは香のこととこそ知れ
鬼柚子を膝にかかへてゐない子の名などつけたし雨のふるゆふ
しあはせは自壊してゆく成りすぎた柚子は枝先から落ちてゆく
「システム」(30首)より 山崎 垂
子を産んだ瞬間われにインストールされたソフトが更新されぬ
産む/産まぬ、インストールをする/しない どちらに〇でも同じシステム
産みたいと思はず産めるシステムの弱点を突く中絶禁止
人はまだ生の身体で戦うて海を見てゐる浜のガンダム
紙煙草、エレキギターはいまスマホもつ君の手の古い恋人
られられと受け身のわれらまたしても大事の文字を黒くぬられる
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