貝澤駿一歌集『ダニー・ボーイ』
- momosaran
- 4月20日
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更新日:4月26日
<2025年4月20日>
「かりん」の貝澤駿一さんが第一歌集を出版されました。
( 本阿弥書店 2025年3月1日発行 2,200円+税 )
松村正直さん・井上法子さん・坂井修一さんが栞を書いておられます。
歌集の中で、高校時代から教師である現在までの時間が流れます。
ロシア語やロシア文学、英文学を抜きにして
『ダニー・ボーイ』は語れないことでしょう。
それらを通じてうたわれていることに耳を澄ませます。
いま私は東アジアの茶文化を調べていて
そこから世界の紅茶文化についても読んでいます。
ロシアのサモワールというお茶の道具を調べているとき
頭のなかに貝澤さんのうたが思い浮かびました。
貝澤さん、第一歌集のご上梓、おめでとう存じます✨✨
サイダーとモネとシスレー ためこんだひかりを空に還す約束
海の向こうでいくつも国が倒されて誰かがそれを春と名づけた
ウクライナ生まれロシア語教授からウクライナ風のロシア語学ぶ
送り火のようなドライブ 冬のダム 君はひかりのほうを見ていた
無回転シュート吸い寄せられていく宇宙がひずむときの速さで
痺れたる僕の手を見る そうこれは 詩のほかに何も生み出さぬ手だ
若者であるという罪逃れきてデモには行かぬことを選びき
世紀末の月のしろさよ監獄のオスカー・ワイルドだれも救わず
行けなかった中学校のことは聞けずマスクの君と目と目を合わす
令和しか知らぬ赤子を抱きつつ若き母立つ通信制の門
ポケットに誰もが銃を持つような整列指導の寒き体育館
火が起こるまで待つという愛がある 小さな進化論のはじまり
ロシア語の教師はウクライナ人教授なりきロシア国歌は決して教えず
シグナルのようにきらめく 教室にそれぞれの長さの透明な定規
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