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坂井修一歌集『青眼白眼』

  • momosaran
  • 2017年4月8日
  • 読了時間: 2分

「かりん」の坂井修一さんが『青眼白眼』と『続坂井修一歌集』をご恵送下さいました。

ありがとう存じます。

『青眼白眼』は坂井さんの第十歌集。

『続坂井修一歌集』については改めて書くとして、

今日は『青眼白眼』から。

   地下鉄に立つて見る夢眉たてて与謝野晶子がわたしを叱る

   しじみ蝶この木の陰に舞ひゐしかわれに転生するゆふぐれも

   もういいよおまへはここにゐてもいい トントンミ―の跳ねやまぬ浜

   虻が恋ふ書斎のあかり黄のひかり見あぐるときに息吸ふわれは

   おもてうらこの世にさらしはくれんが揺れてはがれてもうさやうなら

   つつぷして眠りこみたる十五秒 海底見えて蛸が這ひくも

   ロボットがことばをもたば苦しまむ虹の下ゆく鉄腕アトム

   哀楽にとがるこころはざわざわとこの流刑地に子を成しし王

   わきやまぬ泣かまほしさに飯食へば挽き納豆のほそきかをりす

                      砂子屋書房 2017年3月1日発行

2013年1月から2015年4月までの作品が収められています。

「この時期、大学の部局長を拝命し、きりきりとした苦しい時期を過ごした」

とあとがきにあります。

一首目、地下鉄の中でまま眠ってしまうほど疲れていても

その夢に与謝野晶子が出てきて叱られる。

二首目は数年前「かりん」全国大会の歌会で評者をつとめた折、

詠草集中の私が担当した範囲にあったおうた。

評のため何度も読むうちに好きになりました。

詠草集は無記名なので、歌会終了後に坂井さんのおうただとわかりました。

三首目、トントンミーはトビハゼの南西諸島での呼び名。


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