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『紫の梅』①-柳原白蓮のうた


あるかたのご厚意により、飯塚市ゆかりの歌人、柳原白蓮の歌集『紫の梅』の

初版本を拝読する機会に恵まれました。

大正時代の貴重な初版本で白蓮さんの歌を読めたことはほんとうに幸いでした。

柳原白蓮(地元では白蓮さんと呼ばれます)については

ご説明するまでもないでしょう。

近年ではドラマ「花子とアン」で仲間由紀恵さんが演じた葉山蓮子の

モデルとなり、いっそう有名になりました。

本名は燁子(あき子)。明治は鹿鳴館の時代に柳原伯爵の子として

東京に生まれました。

数え16歳で結婚して男児を出産しますが、4年後に離婚。

実家での外出もままならない生活を経て、念願の東洋英和女学校に入学します。

ここで出会ったのが、のちに『赤毛のアン』の翻訳者となる村岡花子ですね。

女学校をおえた後、白蓮さんが再婚したのが筑豊の炭坑王といわれた

伊藤伝右衛門です。二人には25歳という歳の開きがありました。

伊藤家で過ごした10年間に白蓮さんは『踏絵』『幻の華』など数冊の歌集を

出版し、「筑紫の女王」と呼ばれて全国的に注目されるようになります。

『紫の梅』は、宮崎龍介と東京で落ち合い、伊藤家を出奔した

いわゆる白蓮事件の後に出版された歌集です。

発行は大正14年(1925年)6月20日。

著者名は柳原燁子となっていて

出奔後の新生活で詠まれたうた三百首が収められています。

集中に「むらさきの梅」十首があり、題名はその中の次の歌からとられたものと

思われます。

   紫の梅といふものわが庭に初めて見つと誰につげまし

   いにしへの唐のきさきもめでしとふ紫の梅を我庭に見つ


 
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