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江川美恵子歌集『青い丘が待つ』

  • momosaran
  • 2017年7月17日
  • 読了時間: 2分

会ったなら話したきことサイダーの気泡のように生(あ)れて弾ける   

最近「かりん」では歌集・歌書の出版が相次いでいます。

江川美恵子さんは2013年に「かりん」に入会、

2015年にかりん賞を受賞なさいました。

短歌を始める前には詩を書いていらしたそうです。

『青い丘が待つ』は江川さんの第一歌集。

その出発にあたって主宰の馬場あき子先生が書かれた帯文は

「江川さんがまっしぐらに歩いてきた軌跡がみえるような頼もしい歌集である。」

という言葉で結ばれています。

( 角川書店  2017年6月25日発行  税別2,600円 )

    着信などもうありはせぬ夜また夜壁の阿修羅の腕をながめる

    水やれば朝の挨拶すぐ返すハーブは息子に似た香を放ち

    お、オオイヌノフグリの青と近寄ればちぎれビニールひっそりと咲く

    水族館に会いに行くのよなつかしくほんとは魚になりたいわれら

    アクアリウムに子を連れ来たる昔なり抱き上げて魚に吾子を見せたり

    業平も万葉人も見ざりける美(は)しきひとつよ飛行機雲は

    湯上がりに切る足の爪ほのかにも日陰の草のにおいを放つ

    投げキスのように飛ぶ「死ね」野球部の話の途中の一人が下車し

    鴎外がエリスを忘れしそののちの哀楽の楽くらくら想う

    笑うべし声立て笑え鴎外も恋捨て去りしのちの長き生(よ)


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