連作「王宮里」
私の「王宮里」は「短歌往来」2015年5月号に掲載されたものです。
この連作10首は次のうたから始まります。
百済なる王宮里にてつくられし黄金の釘のやさしき光
「王宮里」というのは韓国の王宮里遺跡のことです。
韓国語では「ワングンリ」だと思いますが
発音は「ワングンニ」となるのかもしれません。
日本では「おうきゅうりいせき」と呼ばれることを考えて
タイトルにはルビをつけませんでした。
あるかたにその掲載誌をお見せしたところ
タイトルを声を出して読まれました。
「おう・みや・さと…」。
しまったーーー!!
「おうきゅうり」と読まれたとしても間違いとはいえないからと
あえてルビを振らなかったのですが
「おうみやさと」と読まれる可能性を考えてなかった…!
それはさておき、
その連作の掉尾に次の一首を置いています。
母のごと慕いしひとの形見に挿す水仙の香は寒く広がる
連作が掲載されたのはは5月号ですが、
原稿依頼を受けたのは3月ごろと記憶しています。
「母のごと慕いしひと」と詠んだ女性も歌人でした。
70代の初めにご病気で急逝なさいました。
今日3月19日はそのかたのご命日です。
遠方に住んでいらしたので
お会いした回数は多くありませんが
手紙のやりとりは多く、
一度ごいっしょに美術館巡りの旅行をしたこともあります。
その思い出や、そのかたのたたずまい、
遺されたうたなどを思い返して
偲んでおります。