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「かりんZONTAG」第4号

  • momosaran
  • 2019年4月22日
  • 読了時間: 2分

「かりんZONNTAG会」は短歌結社「かりん」の福岡支部です。

このほど、その合同作品集「かりんZONTAG」を発行しました。

各会員の自選短歌作品二十首とエッセイを収録しています。

こちらは5年ごとの発行なので

二十首は直近5年間から自選したものです。

私は第2号から参加しています。

その折は短歌とエッセイでしたが

前号と今号は短歌のみ。

今号のその二十首を全首、こちらに掲載いたします。

よろしければご覧くださいませ。

なお、タイトルは「もみを抱(いだ)きて」で

「文芸福岡」第7号(4/20発行)に掲載された短歌作品と同じですが

「文芸福岡」はその十首バージョン、

「かりんZONTAC」は二十首バージョンです。

 「もみを抱(いだ)きて」   キム・英子・ヨンジャ

    ―飯塚市歴史資料館

資料館の奥なる部屋に甕棺は立つあり横に置かるるもあり

抱き合いてひとつの甕に入りましょうそう契りてし二人もありや

穂浪郡(ほなみごおり)嘉摩郡(かまのこおり)すなわち稲と鎌 

 もみを抱(いだ)きて渡り来たれり

青と碧弥生人好みし色なりと聴きおり窓に海はきらめく

可也山(かやさん)はやさしきラインふるさとの国の名つけし人らのありき

十一の男の子(おのこ)のごとき矜持もて田に光る二十センチの稲は

トラジ茶の香り清(すが)しも山中に白き桔梗(トラジ)を摘みし少女(おとめ)ら

奈良よりのオレンジショコラ桐の箱に並びて貢ぎ物めいている

まっすぐな雨の降る日の縁側よ思惟のかたちに腰かける猫

先生と呼ばるる猫は昼寝する柔き内側放恣に見せて

日本語を話せぬままに祖母逝きぬ故国の医師のいる病院に

祖母の爪切ればアリガトウと言い巾着より五十円をくれたり

出棺の祖母の茶碗を玄関の前に割りたり一世の同胞

母さんにはぐれて走る子のような風が私も泣かそうとする

国民保護アラート鳴るとうその時に在日われの隠り処(こもりど)やある

放送の自粛となりし時のごと「イムジン河」を鳥渡るらん

僕は君のことが心配でたまらないカフェで私にそう言うペッパー

なにゆえにそのような朱を見せるのか私は泣かん泣かんよ夕焼け

無窮花(ムグンファ)の非暴力主義しらしらとわたくしもまたあかときは咲く

朝(あした)この佳きもの鳥はハナミズキに鳴くわたくしに未来あるごと


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