『しびれる短歌』(東直子・穂村弘著)
『しびれる短歌』(2019年1月10日発行 ちくまプリマー文庫)の帯文には
こうあります。
「歌人二人が語る、楽しいみんなの短歌入門」。
歌人の山下翔さんが「現代短歌」2019年3月号の歌壇時評で
『しびれる短歌』について
「このよくありそうなテーマ・構成で独特の入門書に仕上がっているのは
対談という形式によるところが大きいのではないかとおもう。」
と書いてあります。
おそらく若い年代向けの短歌入門書なのですが
「恋の歌」「家族の歌」などそれぞれのテーマごとに
東直子さんと穂村弘さんがそれぞれ幾首かを取り上げて
意見を交わしあう。
入門と言っても対談なのでお勉強という感じはなくて
お二人のお話をかたわらで聞いているような楽しさもあり、
取り上げられたうたについて
自分はどう思うか考えながら読む、そういう楽しみ方もできます。
取り上げられるうたは
有名な一首から投稿歌までバラエティーがあり、
初心者でなくても面白く読めるでしょう。
それから、本編とは別に付録が二つついていて
その一つは「歌人ってどうやってなるの?」
本編と同じくお二人の対談ですが
それは次のように始まります。
・・・これより引用・・・・
穂村 短歌を作るってことと歌人になることの間には、かなりのギャップが
あるんだよね。
東 歌人とプロになることもまた違う。
・・・・引用ここまで・・・・
はたしてお二人が考える歌人とは、そしてプロの歌人とは。
この対談ではお二人が短歌を作り始めた頃や
短歌の大きな新人賞を受賞した時のこと、
第一歌集を出版した頃のことも語られています。
お二人はこの頃、別のルートで
歌人の林あまりさんと加藤治郎さんに出会っています。
その頃のことを
短歌ムック「ねむらない樹」創刊号(2018年8月発行 書肆侃々房)の
東さんと林あまりさんの対談や
角川「短歌」2019年4月号の
「特集・穂村弘」ロング・インタビューでも
くわしく語られています。
こうした対談やインタビューを合わせて読むことで
当時のお話をより立体的に感じることができました。