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桜川冴子歌集『さくらカフェ本日開店』

  • momosaran
  • 2019年8月30日
  • 読了時間: 2分

「かりん」の桜川冴子さんの『さくらカフェ本日開店』が出版されました。

『キットカットの声援』に続く第五歌集です。

(本阿弥書店 2019年8月9日発行 2,700円+税)

タイトルの「さくらカフェ」とは桜の季節だけに現れるそうです。

「あとがき」にはこう書かれています。

”大学の研究室は一階で窓の前面に桜の樹が見える。

春休みの終わり、外で桜を眺めるには肌寒く、

研究室のドアに「さくらカフェ~在室のときはどうぞ」と貼っておく。

すると、いろいろな人が訪ねてくる。

タイトルは桜の頃の一週間限りの研究室のことである。”

あたたかな心配りと、桜川さんのお名前ともそろって

明るくてうきうきするような素敵な歌集名だと感じます。

桜川さんとは「かりんZONTAG会」(福岡支部)でごいっしょしていて

その原則月一回の歌会が開かれないときも

「かりん」誌でその作品は毎月読んできました。

その他、超結社の歌会などでごいっしょして

私がいいなあと感じた作品とこの歌集でまた出会って

なつかしいような、うれしいような気持ちです。

古池や 蛙は何匹ゐるのかと言ひ合つた日よ欠席に〇(マル)をす

沈黙はひびきに似たりそこにゐない人を思ひて祈る会堂

ふるさとにふるさとの顔をもつ人の集まりがあるパイプ椅子ならぶ

みんなみんなどこかへゆけり濃き闇に手囲ひのほつ、ほうたる放つ

あッ、雨とひとつの傘に飛び込めばいつもより濃く君が匂へり

八重桜の木があつたのよ なきものは夕べの庭に人を佇(た)しむ

褒めるのとおだてるのでは違ふなう、さうだなう、亀も頷きにけり

本当にいいのですかと聞かれをりしろがねの髪と決めし晩夏光

チベットの旅の記憶に鳥葬の岩陰に並ぶ髪黒かりき

難去りて昔語りの母とゐるオーライオーライバックオーライ


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