いざ みづからを
- momosaran
- 2019年9月19日
- 読了時間: 2分
9月に入ってから35度前後の猛暑がぶり返し、
なかなか体にこたえたことでした。
それでも空の雲は秋を感じさせ、
上旬には田んぼの脇道に曼殊沙華が顔を出しました。
そして、日中は残暑が厳しいとはいえ
朝夕の風にようやく涼しさを覚えるようになりました。
新涼の季節、心に浮かんでくるうたがあります。
眼をあげよもの思ふなかれ秋ぞ立ついざみづからを新しくせよ
若山牧水
私に喝を入れてくれるような一首です。
「秋ぞ立つ」を暦の上での立秋ととれば
このうたは8月の上旬頃に詠まれたことになります。
このうたに出会ったのは、たぶん20代の頃。
その頃は暦の立秋のことと解釈したように思います。
だから、8月前半の、
一年でもっとも暑さの厳しい季節に思い出していました。
その気持ちを言葉にしてみると
たたみかけるような呼びかけが
真夏の暑さの激しさと響き合うように感じていたのでしょう。
それがだんだん、
暦の上の立秋とは関係なく、
自分自身の感覚で秋を感じた時に思い出すようになりました。
実際、この一首が宮崎日日新聞に掲載されたのが9月10日だったそうですから
だいたいいまごろの季節ですね。
一首の中で何度も命令形で呼びかけていますけれど
これは他者に対してではなく
牧水が自分自身に呼びかけているのでしょう。
そして、このうたを読んだ私も
そうだ!
と自らを鼓舞してきたのです。
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