小説家は
- momosaran
- 2019年9月30日
- 読了時間: 2分
僧侶で作家の瀬戸内寂聴さんが
同じく作家の柳美里さんについて書いた「あの部屋」という文章がある。
(「柳美里新聞」第1号(2016年12月9日発行 kkベストセラーズ)
その文章の中頃に次の箇所が出てくる。
「(柳美里さんの)小説は出る度にみんな読んで、
その天性の才能に感動していた。
私小説の作品から知らされた生活の内容を知るほど、
ダイナミックな暮らしぶりに拍手を送っていた。」
そして、こう続く。
「小説家は不良で、不道理で、好色であるべきで、
他の何の職業にもつけない不器用さにしばられているべきである。」
私はエッセイは書くが、小説は書いたことがない。
正確に言えば、一度だけ書きかけたことがある。
学校(長崎県立女子短期大学・英文科)で課題として出されたのだ。
何の講義であったか、夏休みの課題として
小説家についてのレポートを出すように言われた。
ただし、自分で小説を書けば、レポートは出さなくていい。
小説か、レポートか。
私は小説を選んだ。
レポートは時間がかかる。
小説のほうは、先生いわく、出来不出来は問わない。
原稿用紙何枚以上といった条件もつけない。
とにかく自分で書いて提出しさえすれば単位をくれる。
うまく書けなくてもいいのなら、と
軽い気持ちで書き出した。
小学校に入る前から本はよく読んでいて
そのほとんどは小説であったから
なんとなく書ける気になっていたのかもしれない。
でも、書けなかった。
今から思えば、小説の書きか方も知らないで、無謀であった。
かくして私は夏目漱石についての長いレポートを書くために
図書館に通った。
小説を書くことに比べたら
レポートはなんて楽なんだろうと思えた。
瀬戸内寂聴さんの上の言葉を読むと、
当時の私に小説が書けなかったことが深ーく納得できる。
単純な意味での不器用さはじゅうぶんに持っていたが
20歳の私は男の人とおつきあいをしたことがなかった。
好色の足元にも及ばない。
学生寮(鳴滝寮)の規則は厳しく、
不良でもなんでもなかった。
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