望遠鏡-石井さんの歌会始ご入選歌
今月16日に皇居・松の間でおこなわれた、令和初の歌会始に
いいづか短歌サロンの石井信男さん(直方市在住)が入選なさったことは
昨日のブログにも書きました。
今日は、そのご入選歌を改めてご紹介して
私の鑑賞も述べたいと存じます。
今回の歌会始のお題は「望」でした。
息を止め望遠鏡で本物の土星の環を見た夏の校庭
石井信男さん
このおうたが発表されてすぐに、
「息を止め」と「本物の」がいいなと思いました。
気持ちを述べずとも、「息を止め」でその時の気持ちが伝わります。
待ちに待った一瞬だったのではないでしょうか。
そして、「本物の」と入れることで
それまでに教科書や図鑑で
写真、イラスト、文章などによって土星の環を知ったことがわかります。
そのことで土星や宇宙に憧れを抱いていたのかもしれません。
その気持ちが「息を止め」につながるのでしょう。
さらに言えば、結句の「夏の校庭」で
その時の大まかな状況が推察できます。
家族などの少人数で望遠鏡を使っているのではなく
歌のなかの<われ>は学生(子ども)で
先生や同級生たちといっしょにいるのだろう、と。
気持ちを表す言葉は用いずに、
その一瞬の気持ちをありありとみずみずしく伝えてくれる。
とても良いおうただと思います☆彡