「かりん」2月号-言い初めたりき
- momosaran
- 2020年2月6日
- 読了時間: 2分
「かりん」2月号は3日に届きました。
巻頭に一頁で掲載される「さくやこの花」は、第109回。
馬場あき子先生が毎号自作短歌一首について執筆なさっています。
今回取り上げられたのは次の一首です。
夜蟬一つじじつと鳴いて落ちゆきし奈落の深さわが庭にあり
『飛種』(1996年)
「さくやこの花」は歌林の会(かりん)のホームページでにアップされています。
この一首と同じように、
馬場先生の今月の作品にも小さな生きものが出てきます。
作品七首より、二首ご紹介いたします。
黄蝶はてしじみ蝶はて萩枯れぬ柿落ちて痛むわが身残れる
もろの手を開けば開く心ありまうできぬことまだやれること
今月号には、
桜川冴子さんの歌集『さくらカフェ本日開店』、
平山繁美さんの歌集『手のひらの海』、
川野里子さんの歌書『葛原妙子 見るために閉ざす目』
の評が掲載されています。
「かりん」は会員の歌集などの出版が盛んであると言われると
入会したばかりの頃にうかがった覚えがありますが
それを実感しています。
最後に、今月の私のうたから幾首か記しますね。
母逝きて三日ぶりなる朝食は新鮮便のいちじく三個
九十四の母が最後に口にしたくだものなりき熟(うま)しいちじく
葉っぱの「ぱ」いちじくの葉を指さして吾子はことばを言い初めたりき
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