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「水城」第275号

  • momosaran
  • 2020年3月11日
  • 読了時間: 2分

「水城」はコスモス短歌会(コスモス)福岡支部の支部報です。

年3回発行されていて、第275号が3月10日付で発行されました。

充実した内容にいつも感じ入っています。

北原白秋や宮柊二についても、

表紙をめくれば、そこに「白秋の歌、柊二の歌」。

今号はふたりのダリヤを詠んだうたが並んでいます。

その二首を解説した小文も添えられて。

「白秋ノート」や「宮柊二歌集『群鶏』を読む」の二つも連載されていて、

先人の作品を研究し、先人に学ぶ姿勢を強く感じます。

では、会員のかたがたの作品より、印象に残ったうたを幾首かご紹介いたします。

 老眼鏡かけた今年はようしやなく出てくる出てくる金柑の種

 栗山由利

 八十になりてできたる友がまだ温き団子汁(だごじる)とどけくれたり

 橋本宣子

 地表より離りすなはち近づきてめぐるよ冬の大観覧車

 藤野早苗

一首目、今年の金柑が特に種が多いわけではなくて

毎年おこなっている金柑の種を取る作業を今年初めて老眼鏡をかけてやってみたら

とてもよく見えて、こんなにたくさんあったのかと驚いたのだろうが、

今までじゅうぶんに見えていなかったことに気づいたときの驚きを

具体的な場面とともにユーモラスに詠んでいる。

二首目、年齢が高くなると、親しい友人との別れが増える。

永訣であったり、

どちらかが施設やお子さんの家に移って距離が遠くなり、

なかなか会えなくなる場合もあるだろう。

そういう年代に、新しい友人ができるというのは

とても嬉しいことに違いない。

しかも、そう遠くない距離におられるようだ。

「だごじる」がいかにも温かそうで、

作者の心も友人の思いやりにほっこりとあたたまったことだろう。

三首目、観覧車はさまざまに詠まれているが

この一首は捉え方に独自性がある。

「人は生まれたその時から死に向かって進んでいる」という言い方があるが

上の句はそれを思い起こさせる。

そうすると、大観覧車は人の一生にも思えてくる。

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