博多の春!シロウオのうた
今月21日から毎日一首、
今まで私が読んで気分が明るくなったうたをご紹介しています。
柳橋市場に今日より解禁のつくしの文字にはねる素魚(しろうお)
間 千都子
シロウオは博多に春を告げる魚。
おどり食いが有名ですね。
柳橋連合市場は福岡市博多区住吉にある昔ながらの市場で
福岡市民の台所とも呼ばれます。
作者は遠方から福岡(博多)に嫁いでこられたかたです。
博多のさまざまな風物を新鮮な視点で詠んでいらっしゃいます。
こちらのうたもそうした一首。
小さく細いシロウオの身がピチピチとはねる
その瞬間のかたちを
一尾ごとに文字に見立てています。
シロウオが「つ」や「く」や「し」のかたちに跳ねている、と。
「つくし」、
それは「筑紫」、すなわち博多であり、
さらには、春の野辺に摘む「つくし」も連想させます。
博多の春を祝うような、躍動感のある楽しいうたです♪
ちょうど一年前の、昨年の3月24日、
福岡市の藤崎で開催された「春の連句会」に連衆として参加しました。
連歌や連句にはこれまで数度参加したことがありますが
俳人の大谷弘至さん(「古志」主宰・福岡県出身)と
歌人の桜川冴子さん(福岡市在住)が
毎年桜の季節に主催なさっている「春の連句会」には
昨年初めて参加しました。
俳人のグループ・歌人のグループ・高校生のグループに分かれて
歌仙(三十六句)を巻こうと始めたのですが
大谷弘至さんが各グループ共通の発句(最初の句)に据えられたのが
次の句でした。
白魚のどつと生まるるおぼろかな
小林一茶
会場に近い室見川あたりには
この時期にはシロウオ料理が名物となります。
連句会の後、その博多の春の味を楽しんで帰られたかたもあるかもしれません。
3月22日に予定されていた今年の「春の連句会」は
残念ながら新型コロナウイルスの件で中止となりましたが
来年の春には
また連句を楽しめるように願っています。