朝のトントンのうた
- momosaran
- 2020年3月28日
- 読了時間: 2分
本日の「気分が明るくなったうた」は
朝の台所が舞台です。
千六本うまくきざみぬトントンとこんなよき朝われにあつたか
岩田 正
「かりん」の故・岩田正先生の一首。
説明するまでもないと思いますが
「千六本」とは、大根などを細長く刻んだもの。
大根のお味噌汁を作っている場面でしょうか。
歌のなかの<われ>は大根を刻むトントンという音に
しみじみとした感慨をおぼえているようです。
歌のなかの<われ>と作者とは
必ずしも同じではないこと。
短歌に詠まれていることは
100%事実とは限らないこと。
現在の私はそのことを心得ているのですが
この一首に出会ったのは
私が「かりん」に入ってすぐの頃であったからか、
このうたの背後に
馬場あき子先生の存在を感じながら読みました。
(これも言うまでもないのですが
馬場あき子先生と岩田正先生はご夫妻です)
このうたを、私は一首のみでおぼえたのですけれど、
こちらは『郷心譜』所収の「よき朝よき夕」六首連作の中の二首目であり
一首目には
起こしてはならぬひとりを部屋に置き秋たつ朝の厨房に立つ
が置かれていて、
さらには岩田先生には次のようなうたもあることを
「かりん」の田村広志さんが『岩田正の歌』に書かれています。
日々母がきざみきたりし千六本手つき同じく妻がきざめり
『靴音』
こうしたうたも踏まえながら読むと、
冒頭の一首の感慨もさらに深いものに思われてきます。
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