top of page

まだ早すぎるうた

本日の「気分が明るくなったうた」は

名前に関するうたです。

 はつなつの青葉若葉を振り仰ぎ名前で呼ぶにはまだはやすぎる

 佐藤りえ

ひとへの呼びかけかたには関係性があらわれます。

十数年前、まだ「かりん」に入会する前でしたが

ある短歌の大会で

初対面のかたから「ヨンジャ!」と呼ばれて

びっくりしたことがあります。

子どもの頃から、私を呼び捨てにする人はごく限られていて

(祖母や両親、兄などが「英子(えいこ)」と呼び、

短大の学生寮時代の親しい友人が愛称で呼ぶくらいです)

しかも、ヨンジャという名前を呼び捨てにされたのはそれが初めて。

(今もって、他のかたにはそう呼ばれたことはありません)

それが、見知らぬかただったので

驚きました。

冒頭の一首は、相手をどう呼ぶか、迷っていますね。

初対面の時は、

「○○さん」「○○君」と呼んでいたものが

何度か会って打ち解けてくるうちに、

呼び方とのギャップを感じてくるのでしょうね。

そろそろ下の名前で呼びたい。

でも、なれなれしいと思われるかな?

怪訝な顔をされたらどうしよう。

私たちって今どのくらい心が通い合っているのかな。

こうして並んで歩いているけれど、

これってまだつきあっていることにならないよね。

そんなふうに相手との距離を測っている下の句が初々しい。

青葉若葉のかがやきをまぶしくみつめる上の句とひびきあって、

恋が恋になる前のさわやかな一首です。

最新記事
アーカイブ
bottom of page