『与謝野晶子論』(馬場あき子・著)
(いりの舎 2019年3月28日 1,800円+税)
昨年、出版後すぐに私の元へやってきた本。
馬場先生のサイン入りです♪
この夏、1年ぶりに読み返しました。
最初に読んだ時は付箋をつけながら。
二度目は、付箋をつけた箇所の前後を中心に線を引きながら。
三度目は、付箋をつけたうたを書き写しました。
与謝野晶子の評論と詩歌との関連についても書かれており、
短歌だけでなく晶子の評論についても知ることができます。
今年読み返してみると、
晶子が100年前のスペイン風邪流行時に発表した文章に注目しました。
「政府はなぜいち早くこの危険を防止する為に、大呉服店、学校、興行物、大工場、
大展覧会等、多くの人間の密集する場所の一時的休業を命じなかったのでしょうか」
と書いています。
これは、まさにコロナ禍の今に通じることですね。
実はこのブログ記事は8月28日に書き始めたのですが
パソコンの不具合で入力が困難なため
今日(9月2日)まで一日に数文字ずつ入力してきました。
その間に、朝日新聞(8/31付 文化の扉面)でも
与謝野晶子とこの文章が取り上げられました。
見出しは「与謝野晶子 時代先取り」
「国の感染症対策を批判 ■ WLB(ワークライフバランス)・子どもへの目線」。
また、馬場先生の本書を読み返してみて
「子どもは社会、国家のもの」と唱えた平塚らいてうに対し
晶子が「子どもは子ども自身のもの」と述べたことも心に残りました。
そして、明治時代に『みだれ髪』で若くして一躍有名になったあと
大正、昭和時代の歌壇での晶子の立ち位置についても
教えられることが多くありました。
次のたいへん有名な一首も
本書を読みおえたあとでは
これまでとはまた違った鑑賞ができました。
劫初より作りいとなむ殿堂にわれも黄金(こがね)の釘一つ打つ
『草の夢』 1922(大正11)年