「海渡る蝶」-父への挽歌
- momosaran
- 2017年6月18日
- 読了時間: 1分
今日は父の日ですね。
わたくしの父は2003年に他界しました。
細身で、モダンな父でした。
父は数え年十一歳でひとり日本へ渡ってきて
八十三歳で亡くなるまで人生のほとんどを日本で過ごしました。
2005年に出版した私の第一歌集『サラン』の最初の章は「海渡る蝶」。
その五十一首のうち、冒頭から二十六首目までは父への挽歌を置いています。
父よ還(かえ)れ雷鳴とどろく夜を越え玄海灘へ友待つ国へ
韓国人の死に装束にあらずして手甲脚絆 棺の父は
白菜(ペクチェ)キムチ器の水に洗いては幼きわれに食ませたまいき
父よ父ようつむくな我に謝るな遠き目をして不意に黙るな
かの地より父の渡りて来た日より七十年を刻みし世紀
徴兵の話の出ればデイ・ケアに徐々に孤独となりゆく父は
医師いわく意識なき父涙する「人生の並木道」歌えば
母国語で父呼び初めし日はまさに永訣のときアボジアボジよ
いざアボジ鮨召し上がれ食めざりし最後の日々に欲せし鮨を
故国(くに)の土せめて入れまし七十年日本に生きし父の骨壺
本堂に金木犀の香り満つ父の遺骨を納める朝(あした)
十一で渡りし国に逝きしとも父はかえらん 海渡る蝶
最新記事
すべて表示今月の「かりん」は8日に届きました。 (8日といえば、私が寝込んでしまった日ですね・・・) 今月号では私は前月号作品鑑賞(1A欄)を執筆しました。 それから、例年「かりん」の12月号には年間展望が掲載されます。 今回は、「山花集」の年間展望(執筆:畑彩子さん)で...
今月(第33回)のいいづか短歌サロン(紙上開催)は10日付で発行しました。 先月、8か月ぶりに会場で開催した折に見学に来られたかたがいらしたのですが そのかたが今回、初めてご参加になりました。 嬉しいことです♪ ご参加人数も紙上開催の回ではこれまでで最も多くなりました。...
きのう、飯塚市内の小学校で4年生にゲストティーチャーとしてお話をしてきました。 学習支援ボランティアです。 テーマは「韓国の文化」。 ちょうどひと月前にご依頼があり、 当時は県内の新型コロナウイルス感染確認者数は1か月ほど一桁台で 筑豊ではゼロが続いていましたので...
Comments