『飲食のくにではピビムパプが民主主義だ』-韓国料理と詩歌の本
- momosaran
- 2017年6月23日
- 読了時間: 2分
……6/24に加筆修正しました……
『料理と詩のコラボレーション 飲食のくにではピビムパプが民主主義だ
~おいしい詩を添えて~』 という長いタイトルのこの本。
「飲食」は「おんじき」と読みます。
2年前の2015年10月に、東京の出版社、(株)クオンから出版されました。
帯文は作家、中沢けいさんがこう寄せています。
おいしいお料理と楽しい詩(うた)。
おなかを満たすお料理と心を満たす詩(うた)。
お料理のお皿が並んだ場所から、
朗らかな人々の声が聞こえる本です。
春、夏、秋、冬の舌つづみに合わせて、
お鍋も歌いだす詩(うた)の数々。
読むだけで幸せになれます。
そう、これは韓国料理を詩で味わう本なのです。
韓国の詩人たちが一人ひとつの料理をテーマに詩を綴っています。
詩は見開きで日韓対訳なので、韓国語の勉強にもなりそう。
そして、テーマとなっている料理の撮り下ろし写真とレシピ、コラムも載っています。
お料理はユッケやピビムパプ(ピビンバ)、キムチ、プルコギといった、
今や日本のかたにもおなじみのものから、
シレギ、クルビといった耳馴染みの薄いものまで、39種類。
それに、チェササンとイバジという行事食を加えて全部で41。
この行事食は私が短歌の連作で詠んでいます。
ですから、韓国の詩人たちが綴ったというのは
正確には韓国の詩人たちと在日コリアンの歌人、ですね。
私の短歌、「祭祀床(チェササン)-在日の百年」(十首連作)と
「イバジ-花の道」(九首連作)は
二首を除いてこの本のために書き下ろしたものです。
そちらは明日以降に掲載するとして、
今回は詩人たちの作品を少しご紹介しましょう。
たぶん日本で最もポピュラーな韓国の食べ物であるキムチの詩はこう始まります。
ごめん、母さん
私キムチが恋しくないの
あのヒリヒリする辛さを もう忘れてしまったみたい
私の舌 いまではあばずれになっちゃって
口に入ってくるものなんでも そのまま受け入れてしまうんです
(後略)
ムン・ジョンヒ「キムチ」より
また、そのフレーズがタイトルにもなった詩の出だしはこうです。
飲食(おんじき)のくにでは
ピビムパプが 民主国家だ。
豆もやしナムルにほうれん草 にんじん きのこ ワラビにトラジ
牛肉 鶏卵まで まったくの平等。
肉類の上に野菜なく
野菜の上に肉類のないこの食材
このくにでは みな飯の権利を尊重する。
(後略)
オ・セヨン「ピビムパプ」より
いかがでしょうか。
韓国文学、韓国の詩、韓国料理ときいて皆さまがイメージするものと
近いでしょうか。
それともかなり違うでしょうか。
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