短歌連作「祭祀床(チェササン)-在日の百年」
きのうの記事で述べたように、『飲食(おんじき)のくにではピビムパプが民主主義だ
~おいしい詩を添えて~』(2015年・クオン)という韓国料理詩(歌)集には
私の短歌連作二篇も収録されています。
そのひとつ、「祭祀床(チェササン)-在日の百年」は
十首のうち最後の二首を除いて書き下ろしたものです。
祭祀(チェサ)は日本でいう法事に近いと思うのですが
親族が集まってご先祖を祀ることで、
祭祀用の卓の上にはお供えする料理がたくさん並びます。
その料理(行事食)を祭祀床(チェササン)といいます。
百年を越える在日コリアンの歴史の中でも受け継がれて
現在に至っています。
―幼き日、わがやにオンドルがあった頃。
特別な気分のスイッチ入るべし漆の卓を座敷に据えれば
お豆腐に浅利と烏賊の味しみて祭祀には小(ち)さき海を供える
茹で鶏に蒸し豚チヂミ煎(ヂョン)ナムル祭祀の卓の上(え)故郷(コヒャン)をつくる
十首連作「祭祀床-在日の百年」より