「かりん」10月号-アリラン峠
「かりん」10月号は今月3日に届きました。
今月号には7月に開かれた全国大会の記録が掲載されています。
・坂井修一さんの講演 「馬場あき子の鬼 時代と人生と文化」
・米川千嘉子さんによる馬場あき子先生へのインタビュー
「馬場あき子に聴く 『平成の五首から』」
・パネルディスカッション「『かりん』の表現の現在」
・歌会A・B・C
こうした内容の報告および大会参加の印象記が記されています。
今年も全国大会に参加する予定でしたけれど
母の容態が良くなかったため取りやめました。
こうして誌上で報告を読めるのはありがたいことです。
今月号掲載の評論は二本。
・桜川冴子さんの「人間を差し出す歌ということについて」
・外前田孝さんによる「短歌という不可思議」
私の短歌作品は「山花集」にありました。
「山花集」は昨年新設された欄です。
本欄(馬場欄・坂井欄)の作品から
編集委員のかたが選んだものが載る欄です。
こちらの欄があることじたいが励みになります。
また、「前月号作品鑑賞」に拙歌も取り上げられていました。
(執筆:名嘉真恵美子さん)
ありがとう存じます。
こちらも同じように励みになっています。
名嘉真さんが取り上げてくださったのは次の一首です。
息をしているだけで母はありがたし母はありがたしわれをみつむる
キム・英子・ヨンジャ 「かりん」2019年9月号
最後に今月号に掲載された私のうた六首全首を記します。
<タイトル:アリラン峠>
二週間長くて二か月医師の告る日にちは母の命の日にち
酸素マスクつけたくなき母くちびるをぐぐっと閉じて鼻呼吸する
地図上のどこにも名前のあらぬ場所アリラン峠は見えない峠
国中のどこの村にもある峠アリラン峠は人生(ひとよ)の峠
日本(にっぽん)の平均寿命を五年ほど越えて窓見る一世の母
雲の峰呼吸激しくなる母はアリラン峠(コゲ)を越えんとする母
キム・英子・ヨンジャ