伊藤一彦歌集『歌の小舟』
19 時間前
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<2026年9月17日>
太宰府市で開催される筑紫歌壇賞贈賞式には
ほぼ毎年参加しています。
贈賞式後のシンポジウムも毎年楽しみです。
伊藤一彦さんは選考委員であり、
シンポジウムではパネラーをつとめらられます。
その張りのある元気なお声をお聴きするのがとてもうれしい。
なのに、今年は体調不良のため参加をあきらめなければならず、
意気消沈しておりました。
そんなわたしに恩寵のように届いたのが
伊藤一彦さんの最新歌集『歌の小舟』です(第17歌集!)
( 短歌研究社 2026年8月16日発行 3,000円+税 )
帯に「寿命があれば、もっと老いたい。短歌を杖として。」とあります。
これはあとがきにあることばで、とてもこころにしみます。
歌集の掉尾に置かれた連作のタイトルが「歌の小舟」。
そのなかに次の1首があります。
歌といふあの世とこの世出入りする小舟 運ぶは韻律の波
こちらの歌集を拝読して
一陣の風が吹き抜けるような、
自分の中に広々とした世界が広がるような
そんな心持ちがしました。
拝読すると、広々とした気持ちになれるのです。
時には神々や自然と通じ合っているような、
生きているひとや亡くなったかたがたの魂とも交信するような
そのような作品の数々に心打たれました。
それらはたくさんたくさんあって
すべてをあげるのはむずかしいので
ここでは樹木の出てくるうたにしぼって幾首かご紹介いたします。
散り敷ける山茶花のはな掃きをれば間諜のごとき一羽まづ来る
庭の花梨(くわりん)若葉ひらけば約束が昔からあつたやうに雨降り来
人間でない千年を生きたしよ樹々と語らひ秋は黄葉(もみぢ)して
おろおろと夏つばき花こぼしつぐ終りある恋をはりなき恋
宮崎は樹木多くて樹木葬するに宜(よ)けれど樹々らはいかが

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