春雨の使い
<2026年6月24日> ここ福岡県飯塚市ではおとといから止むことなく雨が降り続いています。 気候激甚化の前の日本の梅雨を思わせる、しとしとと降る雨。 (でも今日これから明日にかけては線状降水帯発生の恐れありの予報) 昨年の6月は真夏日が多く、 しかも27日には梅雨が明けて 観測史上最速の梅雨明けになりましたから 梅雨寒なんてことばはもう死語になるのかな、と思った覚えがあります。 今年もすでに5月に気温33度の日があったりして。 でも、梅雨寒。 きのうから、まさに梅雨寒です。 ところで、月に一度、万葉集を学んでいます。 いま学んでいるのは巻九。 そのなかから、旅をゆく官人の一行が詠んだらしいうたをご紹介します。 旅の一行は春、雨に降られて服が濡れてしまっているようです。 衣手の名木の川辺を春雨に我立ち濡ると家思ふらむか 家人の使ひにあるらし春雨の避くれど我を濡らさく思へば あぶり干す人もあれやも家人の春雨すらを間使ひにする 万葉集 巻九 1696~1698番 柿本人麻呂歌集より
ユトレヒトにも
<2026年6月20日> きのうから雨が続いています。 きょう土曜日は全国的に雨のようです。 雨の日に思い出す、 そして、オランダのユトレヒト市と聞くと必ず思い浮かべる、 そんな1首があります。 妻を得てユトレヒトに今は住むといふユトレヒトにも雨降るらむか 大西民子 そういえば、11年前に初めて短歌講座の講師になったとき、 その第1回にご紹介したうたでもあります。 この1首にはさまざまな背景があるようですが それを踏まえつつも 愛誦性のある、美しいうただと感じます。
おたくさ
<2026年6月16日> あじさいの季節ですね。 拙歌集『百年の祭祀(チェサ)』に収めた連作「鳴滝」には あじさいを詠んだうたがあります。 螢茶屋ゆきの市電を鳴滝で降りてゆるゆる上れば母校 坂の途中の喫茶「おたくさ」演劇のチラシ置かせてくれたマスター 紫陽花がたくさん咲いてそれだけの鳴滝塾跡井戸ひとつあり キム・英子・ヨンジャ 『百年の祭祀(チェサ)』 「おたくさ」はあじさいのこと。
その前に、炭坑のうた
<2026年6月10日> 今、わたしのまわりで 山本詞(つぐる)に関心を寄せてくださるかたがたがおられるので 「山本詞を読む会」をおこないたいと考えています。 いいづか短歌サロンのメンバー以外のかたも参加しやすいかたちで。 その前に、今月27日(土)のいいづか短歌サロンでは 「炭坑のうた」をテーマとします。 山本詞をはじめ 炭坑の仕事や暮らしを詠んだ人々のうたをご紹介します。 当時(戦後)の炭坑での詩歌の状況についてもお話しする予定。 山本詞と同じ炭坑で詩歌の盟友だったかたからうかがったお話も お伝えしたいと思います。 詠草のテーマは「筑豊のうた、または自由」です。 いいづか短歌サロンは1回のみの参加もできます。 また、見学もOKです(無料)。 山本詞や炭坑のうたにご関心のあるかたは ホームページのお問い合わせからご連絡くださいませ。 (私のメールアドレスや携帯番号をご存じのかたはそちらでもかまいません) ★山本詞については 拙文「いのちの歌~炭坑に生きた歌人・山本詞~」が インターネット上で公開されています。 (近畿大学産業理工学部研究報告誌
「かりん」6月号-山花集✿24
<2026年6月8日> 今月号は本日届きました。 編集、校正、配送に携わっておられるみなさま、ありがとう存じます。 まず、3月に新歌集を出版なさったばかりの馬場あき子先生の6首より 2首をご紹介いたします。 野生樹のイランの石榴花咲くや被弾の地(つち)に立つ女神の樹 最晩年となりてなしたきことあまたありて咲き出す花をみてゐる 馬場あき子 わたしの連作「焼紙(ソジ)」は8首のうち7首が山花集に載っていました。 山花集への掲載は24回目です。 今回は3月号より4回続けての掲載で、びっくり! そして、たいへん励みになります。 ありがとう存じます。 その連作「焼紙(ソジ)」から1首記します。 祝願の紙に字あらねことばには尽くせぬ思いの白の静けし キム・英子・ヨンジャ
江川美恵子歌集『潮騒の鳴る樹』
<2026年6月7日> 「かりん」の江川美恵子さんが 『青い丘が待つ』に続く歌集を上梓されました。 (本阿弥書店 2026年4月27日発行 2,700円+税) 栞を小島ゆかりさん、藤島秀憲さん、松村由利子さんが書いておられます。 江川美恵子さん、第2歌集ご出版おめでとう存じます✨✨ 水のように忘るるために覚えたり植物園に木の名花の名 しめつける下着の痕跡なき体ヌードモデルは漲りて立つ 光だけ春に近づく野辺を行きひかりのために外す手袋
有川知津子さん-「南の魚座 福岡短歌日乗」
<2026年6月6日> 4/1付のブログでお知らせしたように 西日本新聞・朝刊一面のコラム「春秋」(3/30付)で 筑豊の歌人、山本詞(やまもとつぐる)のことが紹介されました。 「コスモス」の有川知津子さんが 4/22のブログ(「南の魚座 福岡短歌日乗」の水曜日をご担当)で このコラムを取り上げておられます。 そのなかで拙文にも言及してくださっています。 (「いのちの歌~炭坑に生きた歌人・山本詞~」 近畿大学産業理工学部研究報告誌「かやのもり」28号) ありがとう存じます🍒
馬場あき子歌集『アスパラの芽立するころ』
<2026年6月4日> 馬場あき子先生の第28歌集(!) 全歌集刊行後、初の歌集です(!) (角川文化振興財団 2026年3月25日発行 2,700円+税) こちらの歌集が私の手元に届いたのは3月28日。 すぐにページを繰ると、巻頭からにおいたつようなうたの世界。 ぐんぐんとひきこまれます。 けれども、拝読し終えたのはそれからひと月以上先のこと。 なぜなら、うまく言えないのですが ずっと読みかけでいたかったのです。 まだ読んでいないページがある。 それがうれしかった。 読み終えてしまうのがもったいない、そんな感じでした。 読了後は、すぐにもう一度読みました。 ご紹介したいうたがあまりにも多い。 なので、3首のみにとどめます。 すばらしい歌集を拝読できて幸せです。 秋のけはひ衿にしづかに来る夜半を亡き夫の声寝よといふなり 柔土(やはつち)の中にめざめし種子のごと眼ひらけば陽は高くにゐたり ペコちやんが穿きさうな青い短パンが売れて夏くる若葉商店街
