米川千嘉子歌集『スナバコノキ』
<2026年8月3日> 今年の5月に刊行された米川千嘉子さんの最新歌集です。 ( 角川文化振興財団 2026年5月27日 2700円+税 ) 2022年から2025年秋までの459首が収められた第11歌集。 タイトルが印象的ですね。 あとがきによるとスナバコノキとは熱帯アメリカ原産の木で 樹皮は棘に覆われ、高さは50m以上にもなるそうです。 果実は大きくカボチャ型をしていて、 それが羽根ペンで文字を書いた後の インクを乾かす砂を入れる箱として使われたことに由来して スナバコノキという名前があるのだとか。 歌集のなかの「スナバコノキ」30首に次の1首があります。 樹の名前にのこれる人間(ひと)の生活の静かな色よスナバコノキよ こちらの1首のほかにも好きなうたがたくさん! 付箋をたくさんつけました! そのすべてはご紹介できないので、3首のみ記しますね。 避難してきた人のめぐりに光(て)る善意 入管が女の人を殺したのはなぜ その仕事またくわからぬ歳月に夫を誰より知る顔をして デコピンは走る没落期日本のオオタニといふ神に仕へて
「かりん」7月号-「麻のシャツ」
<2026年7月31日> 今月号は3日に届きました。 編集や校正、発送に携わっておられるみなさま、 ありがとう存じます。 まず、馬場あき子先生の作品6首より1首目をご紹介いたします。 新宿は万劫(ごふ)年経る亀の子のみどり亀売られゐて去りがたし 馬場あき子 わたしのうたは連作「麻のシャツ」が7首掲載されています。 そのなから1、2首目を記しますね。 韓(から)くにの民の願いに描かるるを民画と呼べり柳宗悦 民画(ミナ)に描く絶えざる願い富貴、長寿、出世と多産と多男と多男 キム・英子・ヨンジャ
第100回いいづか短歌サロン
<2026年7月30日> おかげさまでいいづか短歌サロンは 今月25日(土)の開催をもって 第100回を迎えることができました。 これもずっと参加してくださっているみなさまのおかげです。 特に、コロナ禍により2020年からの3年間のほとんどを 紙上開催としなければならなかった折にも 参加し続けてくださったおかげで 筑豊の小さな短歌の灯りをともし続けることができました。 そして、その後に新しいかたがたがご参加くださったことも なんとうれしいことでしたでしょう。 心より感謝いたします。 25日のいいづか短歌サロンは第100回記念として 炭坑王・伊藤伝衛門の妻となって 飯塚で10年を過ごした柳原白蓮のうたをとりあげました。 今回は白蓮さんの前半生(飯塚を出奔する=白蓮事件)までのうた。 次回は後半生のうたをごいっしょに鑑賞いたします。 飯塚(筑豊)で白蓮さんのことを知らないかたは あまりいないでしょうが その実、そのうたとなるとあまり知られていません。 今回は飯塚時代に刊行された2冊の歌集『踏絵』、『幻の華』、 そして詩歌集『几帳のかけ(げ)』の特徴と
第100回!その内容は
<2026年7月13日> 今月で第100回を数えるいいづか短歌サロン。 記念すべき第100回は25日(土)におこないます。 (原則として毎月第4土曜日に開催) 前回、「炭坑のうた」を取り上げたのに続いて 今回も筑豊にちなんだテーマに決めました。 筑紫の女王と謳われた柳原白蓮のうたを 今月と来月の2回にわたってごいっしょに読みます。 まず今月は、白蓮さんの前半生のうた。 第1歌集『踏絵』など、 炭坑王・伊藤伝右衛門の妻として10年間を過ごした 飯塚時代のうたを中心に取り上げます。 飯塚時代のうたは一般にも広く知られたうたがありますが それらを深く掘り下げる場はあまりないように思います。 詠草のテーマは「鳥のうた、または自由」です。 このテーマは白蓮さんの飯塚時代の代表作からとりました✿
今月で、第100回!
<2026年7月11日> いいづか短歌サロンは、おかげさまで今月、第100回を数えます🌸 これまで、5月には周年記念の企画をおこなってきました。 この第100回は、記念になにかかたちに残るものをと 現在、準備を進めています。 それで、いま思った以上にハードな毎日になってますが、 記念のかたちがちゃんとできるまでは がんばれ、わたし…。 なにしろ、 かたちに残るものを作りませんかと提案したのはわたしなので がんばるしかないですね。 秋にはできあがる予定です。
春雨の使い
<2026年6月24日> ここ福岡県飯塚市ではおとといから止むことなく雨が降り続いています。 気候激甚化の前の日本の梅雨を思わせる、しとしとと降る雨。 (でも今日これから明日にかけては線状降水帯発生の恐れありの予報) 昨年の6月は真夏日が多く、 しかも27日には梅雨が明けて 観測史上最速の梅雨明けになりましたから 梅雨寒なんてことばはもう死語になるのかな、と思った覚えがあります。 今年もすでに5月に気温33度の日があったりして。 でも、梅雨寒。 きのうから、まさに梅雨寒です。 ところで、月に一度、万葉集を学んでいます。 いま学んでいるのは巻九。 そのなかから、旅をゆく官人の一行が詠んだらしいうたをご紹介します。 旅の一行は春、雨に降られて服が濡れてしまっているようです。 衣手の名木の川辺を春雨に我立ち濡ると家思ふらむか 家人の使ひにあるらし春雨の避くれど我を濡らさく思へば あぶり干す人もあれやも家人の春雨すらを間使ひにする 万葉集 巻九 1696~1698番 柿本人麻呂歌集より
ユトレヒトにも
<2026年6月20日> きのうから雨が続いています。 きょう土曜日は全国的に雨のようです。 雨の日に思い出す、 そして、オランダのユトレヒト市と聞くと必ず思い浮かべる、 そんな1首があります。 妻を得てユトレヒトに今は住むといふユトレヒトにも雨降るらむか 大西民子 そういえば、11年前に初めて短歌講座の講師になったとき、 その第1回にご紹介したうたでもあります。 この1首にはさまざまな背景があるようですが それを踏まえつつも 愛誦性のある、美しいうただと感じます。
おたくさ
<2026年6月16日> あじさいの季節ですね。 拙歌集『百年の祭祀(チェサ)』に収めた連作「鳴滝」には あじさいを詠んだうたがあります。 螢茶屋ゆきの市電を鳴滝で降りてゆるゆる上れば母校 坂の途中の喫茶「おたくさ」演劇のチラシ置かせてくれたマスター 紫陽花がたくさん咲いてそれだけの鳴滝塾跡井戸ひとつあり キム・英子・ヨンジャ 『百年の祭祀(チェサ)』 「おたくさ」はあじさいのこと。
その前に、炭坑のうた
<2026年6月10日> 今、わたしのまわりで 山本詞(つぐる)に関心を寄せてくださるかたがたがおられるので 「山本詞を読む会」をおこないたいと考えています。 いいづか短歌サロンのメンバー以外のかたも参加しやすいかたちで。 その前に、今月27日(土)のいいづか短歌サロンでは 「炭坑のうた」をテーマとします。 山本詞をはじめ 炭坑の仕事や暮らしを詠んだ人々のうたをご紹介します。 当時(戦後)の炭坑での詩歌の状況についてもお話しする予定。 山本詞と同じ炭坑で詩歌の盟友だったかたからうかがったお話も お伝えしたいと思います。 詠草のテーマは「筑豊のうた、または自由」です。 いいづか短歌サロンは1回のみの参加もできます。 また、見学もOKです(無料)。 山本詞や炭坑のうたにご関心のあるかたは ホームページのお問い合わせからご連絡くださいませ。 (私のメールアドレスや携帯番号をご存じのかたはそちらでもかまいません) ★山本詞については 拙文「いのちの歌~炭坑に生きた歌人・山本詞~」が インターネット上で公開されています。 (近畿大学産業理工学部研究報告誌
「かりん」6月号-山花集✿24
<2026年6月8日> 今月号は本日届きました。 編集、校正、配送に携わっておられるみなさま、ありがとう存じます。 まず、3月に新歌集を出版なさったばかりの馬場あき子先生の6首より 2首をご紹介いたします。 野生樹のイランの石榴花咲くや被弾の地(つち)に立つ女神の樹 最晩年となりてなしたきことあまたありて咲き出す花をみてゐる 馬場あき子 わたしの連作「焼紙(ソジ)」は8首のうち7首が山花集に載っていました。 山花集への掲載は24回目です。 今回は3月号より4回続けての掲載で、びっくり! そして、たいへん励みになります。 ありがとう存じます。 その連作「焼紙(ソジ)」から1首記します。 祝願の紙に字あらねことばには尽くせぬ思いの白の静けし キム・英子・ヨンジャ
